2タイプの在宅勤務を知っていますか?

ノートパソコンを広げながらカフェでコーヒーブレイク中。カーネーションとフリージアがテーブルに置かれている。

新年度のスタートを機会に、この4月から労働時間と勤務場所の柔軟化・多様化に乗り出した企業もみられます。

たとえば、フレックスタイム制や短時間勤務(労働時間)、サテライト・オフィスや在宅勤務制(勤務場所)などの導入です。

 

労働時間や勤務場所を選べるようになると、生活とのバランスを保つ働き方を希望する社員のニーズに対応できますし、時間や場所に制約があって、働きたくても働けなかった人たちにも働き手となってもらいやすくなります。

社員だけでなく企業にとっても、潜在的な労働力を掘り起こすというメリットがあります。

そのため導入を検討中の企業も多いかもしれません。

 

 

以前コンサルティングのなかで、「在宅勤務になると社員としての身分はなくなり、いわゆるフリーランスになるのですか?」との質問をいただいたことがあります。

実は、在宅勤務には次のように2つのタイプの就業形態があります。

  1. 在宅雇用
  2. 在宅就業

似たような言葉で、どこがどう違うんだ?と思われるかもしれませんね。

そこで今回は、この在宅勤務の2パターンについて違いを確認していくことにしましょう。

退職しないで社員の身分を維持する「在宅雇用」

混雑した改札を通る通勤者。

在宅雇用は、企業に雇用された社員が、会社への出勤回数を減らしたり、もしくは月一回程度の出社でほぼ出勤せずに自宅で仕事をする就業スタイルのことです。

 

通勤から解放されることで、職住一致のライフスタイルが可能になります。生活時間とのバランスもとりやすいので、社員が子育てや介護などのために退職することなく、自宅で仕事を継続することができます。

通勤時間の負担がなくなると、精神的、肉体的にも時間に余裕が生まれ、今までできなかった読書による知識の習得や家族とのコミュニケーションも可能になります。

その結果、仕事にも大きなプラスを生み出すことが期待できます。

 

これらの在宅勤務(在宅雇用)のプラス面を活かし、今後さらに定着させていくには、従来の仕事のやり方を見直すことがポイントになります。

社員の勤務時間帯と生活時間が混在せざるを得ない働き方なので、これまでの人事管理では対応が難しいと、導入をためらっている企業もあるかもしれません。実施しない理由として、実際によく挙がるのが次のような内容です。

  • 社員の管理が難しい(労働時間、社員の健康、仕事の進捗など)
  • 社員の評価がしにくい

そこで、会社としては業務の細分化、もしくは集約化を図るなどして個別作業も可能となるように、業務自体を見直すことが欠かせません。効率性を考えるよい機会になりますし、業務の切り分けができれば個別評価もしやすくなります。個別作業とはいえ、特定の社員しかできないような仕事にしないよう、社員それぞれの仕事の範囲を広くし、お互いの仕事をフォローできる体制づくりを日頃から心がけることも大切です。

 

また社員にも、セルフマネジメント力を向上させることが求められます。

自己管理できる能力がなければ、自宅スペースにおいて一人で仕事をするので、物理的に当然とはいえ、人との接触機会が少なくなり孤立感から仕事に身が入らなくこともあるからです。

それとは反対に、自己責任が過剰になって、何でも背負い込んでしまいやたらと負担感を持ってしまう懸念もあります。

自宅のデスクに広げられた専門書とノート、筆記用具

いわゆるフリーランスとしての「在宅就業」

フリーランスのスタイリッシュなデスク。

社員のマネジメントや人事評価が難しいこともあって、在宅勤務のもうひとつの形態として在宅就業があります。これは企業に雇用されない就業形態になります。

 

専門的知識、経験、能力を活かしたプロフェッショナルとして、自己の責任で業務を行います。独立自営業者、いわゆるフリーランスであり、企業と働き手本人の関係は、「請負契約」または「業務委託契約」となります。

 

自宅で仕事をしている、これまでの自由業や自営業、内職者と異なる点は、「インターネットなど情報通信技術を活用して自宅で仕事をする」という働き方であることです。

 

 

現在の在宅勤務で比重を占めるのが、この在宅就業です。そのため、冒頭のように「在宅勤務になると社員としての身分はなくなるのか?」と思われる方は、もしかすると多いのかもしれません。

 

在宅勤務(在宅雇用)の導入をためらう企業側の理由に「社員の管理が難しい」「社員の評価がしにくい」とありましたが、在宅勤務を行う社員側からも「会社の指示を仰ぎにくい(聞きたい時に聞けない)」「自分の評価がきちんと行われるのか」といった同様の課題が挙げられています。このような背景から、いわゆるフリーランスとしての在宅就業が割合を占めるとも考えられるでしょう。

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在宅勤務を制度として導入するかどうかは、まず会社が社員の意向をヒアリングすることが大切です。そして、業務の内容やオフィスにおける業務の実態などを考慮して、どのような就業形態であれば社員の力を一番活かすことができるのかを判断することがポイントです。

会社の一方的な業務命令ではなくて、社員の合意を得て、就業形態や労働条件について話し合うことは、在宅勤務でも社員が安心して能力を発揮することにつながります。

 

会社に入ったときは独身でも、結婚や子育て、家族の介護などのライフイベントで日常生活のスタイルが変わり、それに合わせて働き方も変わるかもしれません。

その変化を理解し、社員がそれぞれ自分に合った働き方を選択できる環境をつくっていくこと。

これからの時代、会社を伸ばしていくためには必須の課題かもしれません。

ピンクのノートパソコンのキーボードを操る指先

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。パソコンに集中して打ち込む社員。
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