「高島さんは経営者寄りの社労士ですか?それとも社員寄りの社労士ですか?」と、先日仕事の関係者に聞かれることがありました。
そこで「社員と力を合わせて会社を伸ばしたい経営者の立場に沿ったアドバイスを行う社労士です」とお答えしました。すると、
「高島さんは、『こうしないと会社は損しますよ』『会社のためには就業規則にこう書くべきですよ』みたいなことは、あまり言わないですよね?」とのことでした。
なるほど、このやり取りのなかで気付いたことがあります。
社労士には4タイプある
この会話で改めて気付いたことは、社労士のスタンスには4タイプある、ということです。
そこで4タイプに分類する基準は2つあります。
ひとつは「経営者寄りなのか、社員寄りなのか」。もうひとつの基準は「経営層と社員のチームプレイを重視するか、対立構造もやむかたなしとするか」。
わかりやすく、社労士の4タイプをマトリックスで整理すると下記の図のようになります。
経営者
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B | A
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対 立 ―――――――――――――――――― チーム
|
|
C | D
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社 員
社労士のスタンスと会社の社風が合っていないと、これからめざす方向性がぼやっとしてしまいます。当然、それに基づく就業規則や人事制度をつくっていくにしても、本来なら必要のないストレスや負担が生じてしまいます。
では、次から詳しく説明しましょう。
社労士の4タイプとは
マトリクスの右上のAは「経営者寄り・チームワーク重視」タイプ。
職種や仕事内容、顧客の特性、業界の事情などを踏まえたうえで、経営者側の立場にたって、アドバイスします。会社を守る法律的なリスクヘッジはもちろん大切ですが、チームワークで目標を達成することを重視して、会社を伸ばしていくための働き方(行動パターン)を提案します。会社の方向性や社員についてじっくり考えることを求めるので、それを負担に思う経営者もいます。
マトリクスの左上のBは「経営者寄り・対立は是」タイプ。
何よりも会社を存続させるために、経営者の立場にたってアドバイスします。リスクヘッジの観点から、社員に対して「あれこれしてはいけない」と禁止事項を求めることも多いので、場合によっては「経営者VS社員」の対立構造を作ってしまうこともあります。
マトリクスの左下のCは「社員寄り・対立は是」タイプ。
訴訟リスクを避けるため、企業の責任や義務を重視したアドバイスを行います。
訴えられないためにはどうすればよいかを重視し、就業規則にもあらゆるトラブルを想定して事細かく規定することを勧めます。会社経営よりも社員の権利が優先されすぎた場合、やらなければならない仕事が置き去りになり、生産性が下がってしまうこともあります。
マトリクスの右下のDは「社員寄り・チームワーク重視」タイプ。
世の中の流れから、企業の責任や義務を重視したアドバイスを行います。過重労働や仕事上のストレスが原因で、社員が長期入院や最悪のケースは死亡となれば、損害賠償など企業収益に与える影響のほか、社会的な信用失墜など大きな問題となるかもしれません。特にあらかじめ対策を講じておく必要のある、大企業に向いたタイプです。
社風に合った社労士を選んでいますか?
「じゃあ高島さんは、どのタイプですか?」
当事務所のスタンスは前述の「社労士の4タイプ」で言うと、Aタイプです。
社員の力を最大限に活かして、会社を伸ばしたいと考えていらっしゃる中小企業の経営者のお役に立ちたいと考えています。
会社と社員がどんな関係になるかを重要視し、コンサルティングのアドバイスによって、社内の人間関係が悪くなったり、いさかいが起こることのないよう、良いかたちに落ち着くことを考えます。
クライアントのみなさまは社業でお忙しいにもかかわらず、組織にまつわるさまざま課題に真摯に向き合っておられ、いつも頭が下がります。
商品の製造開発、取引先の開拓をはじめ、あらゆるチャンスは人を通してやってきます。社員ひとり一人との関係を大切にせず会社を伸ばすことは、不確実性の高いこれからの時代において、難しいのではないでしょうか。
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たとえばみなさんの会社で、「これからは現場の声を聞いて、みんなで会社のことを考えていきたい」「みんなでやるべき仕事とやらない仕事を見極めて、仕事の生産性を上げていきたい」とビジョンを描いているとき。
そんなときにBタイプやCタイプを選んでしまうと、「”就業規則はこう書いておくべきです!”と言われたけれど、うちの事情を本当に理解してたのかな?」「思っていたような人事制度にならなかったなあ。こういうものなのかな?」というようなモヤッとした不安や不満を残してしまいがちです。
本来専門家の活用は、かかる労力の削減や時間の短縮が目的だと思いますが、不安や不満が残ればスッキリと経営に専念できず、専門家にかけた費用が無駄になってしまいます。
そんなミスマッチを避けるため、自社の社風に合った社労士を選ぶことはとても大切です。
「うちの会社には4タイプのうち、どのタイプが合っているんだろう?」と、社労士に相談するときの参考になればと思います。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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