残業削減の特効薬はあるか

花びんに活けられた薄いブルーの花。広げられたノートと万年筆のうえに花びらが舞い散っている。

「社員の残業時間が一向に減らない。残業する社員にはペナルティーを与える、ということにすればさすがにみんな残業しなくなるのでは?」

 

ビジネスを行う上でコスト感覚はとても大事です。ところが、コスト意識が強すぎると、ともすれば私たちは手早く問題解決ができる手段を求めてしまいがちになります。

一言でいうと「残業削減に効く特効薬があるはず」と考えがちです。

 

年末の納期など、どうしても仕事を終わらせなければならないので、期間限定的に残業が続くことはあると思います。けれど、それが毎度いつものことになっていたとしたらどうでしょうか?

 

「残業禁止」やそれに伴う「ペナルティー」で解決する問題ではないかもしれません。そこで今回は、社員が残業を手放すのに効果的な残業削減の取り組みとはどういうものなのか、詳しくみていきたいと思います。

残業が減らないA社の悩み

電気が消えたオフィス。とあるデスクだけ明かりが煌々とついている。パソコンのそばに広げられた資料と眠気覚ましのコーヒー。ペン立て。

A社では、残業は所属長に事前申請することによって、所属長の命令のもとで行っています。社員が規定の用紙で申請して、所属長の許可も書類のやりとりで運用しています。

 

すると、社員が申請したときに、所属長が外出や接客などで不在の場合、所属長が決裁して許可書類をその社員に手渡すまで手間がかかってしまっています。

 

そのためどうしても事後申請になりがちで、A社が定める月々の目標値の残業時間上限30時間をオーバーしてしまうことも、たびたびあります。はやく何らかの対処を行わなければ、と危機感を持っています。

 

その対応策として、許可がない残業は一切認めず、許可がなく残業した場合や上限時間を守れなかった場合に本人と所属長を懲戒処分にすることを就業規則へ規定化してはどうか?、ただそれだと厳しすぎるだろうか・・・・と悩まれています

 

毎晩遅くまで煌々と明かりが灯るオフィス・・・残業時間がやたらとかさむ企業では、同じように頭を悩ませていらっしゃるかもしれません。

ペナルティーは根治療法になるか

オフィスのデスクに積まれた資料のファイル。ペン。オレンジ色のコーヒーカップ。

コスト管理や社員の健康管理面から言えば、残業時間の上限を30時間に設定することは好ましいですし、正しいことに間違いはありません。

 

けれど実際のところ、上限30時間では難しいこともあるかもしれません。「長時間労働はいけないことだ」→「残業をやめよう」→「取引先からの要望に応えられない」→「業績が下がってしまった」では、会社の存続が危うくなってしまうからです。

 

また、社員が残業することに罪悪感を感じて、残業の実態を隠蔽するなど、かえってあまり良いとは言えない習慣をつくってしまうかもしれません。

 

さらに、懲戒の対象となるのも疑問があります。前述のように納期がひっ迫して残業することもあるでしょうし、新人の頃などは仕事へがむしゃらに打ち込むことで、成長がグッと加速することもあるからです。

 

つまり問題なのは、残業する行為なのではなくて、残業を「恒常的に行ってしまう」ことにあります。恒常的な残業が発生する仕事のさせ方に問題があり、懲戒規定を設けることで解決するものではありません

残業の削減は管理職にかかっている

木目調のテーブルに置かれた白の手帳と万年筆。

残業を削減しながらも同時に利益を確保するには、管理職がメンバーと向き合い、一人ひとりを丁寧に指導・マネジメントしていくことが大切です。単に懲戒規定を設けただけでは、目先の責任回避だとして解釈されるリスクもあります。

 

「できる人に仕事が偏っていないか」「優先順位をたてず無計画に仕事していないか」「チームで仕事が共有できているか」など、メンバーとコミュニケーションをとり、残業の状況把握を行うことが何より現実的な解決につながります

 

前述のA社では残業の事前申請制が形骸化していることが、そもそもの悩みの発端でした。

制度の有効性は運用ルールを実践することにかかっています。ですから無理のない運用が継続のコツです。

 

たとえば、「残業が30分から1時間を超える場合に事前申請させる」や、「残業は原則19:00まで、これを超過する場合は事前申請させる」などと考えることもできます

 

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残業削減の対応にすぐに効く特効薬はありません。上記の懲戒規定の設置など強硬策をとっても、一時的な効果のみですぐにリバウンドしてしまいます。社員の仕事の取り組み方をみながら、じっくり腰を据えて取り組んでいきたいですね。

テイクアウトのホットコーヒーと差し入れのマカロンの箱。ほっとひといき。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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