「うわっ、エラーが出た。どうしよう?こんなとき旦那さんの仕事の都合で辞めたAさんがいたら頼りになったのに・・・(;´Д`)」
いまはどの業界でも人手不足でなかなか採用が難しいため、結婚・妊娠・出産・介護などのライフイベントで退職した、有能な社員に職場復帰してもらいたい、と考える企業は増えてきているようです。
確かにもともと自社で働いていた経験者であれば、扱う商材から社内の雰囲気まで理解していますし、会社にしてもすでに本人の性格やスキルを把握しているので、頼りになる働き手です。
最近は再入社について制度化した会社も、見受けられるようになりました。そこで今回は、再入社制度を設ける際に考えておきたいポイントを確認していきたいと思います。
再入社の要件を考えておくこと
以前に働いていた会社へ再入社すること自体に、法的な問題はありません。ですが、職場における制度として設けるのなら、再入社の要件を明確にしておくほうが良いでしょう。
たとえば退職時に再入社の合意を行ったことを隠して、競業他社へ転職して営業秘密に抵触した場合、トラブルに発展するリスクも考えられるからです。
この場合の対応としては、「競業他社に転職した場合は再入社を認めない」と退職理由を制限する要件を入れておき、また再入社の合意まではしないことがポイントとなるでしょう。
その他にあらかじめ考えておくべき要件は、主には下記のようなことが考えられます。
- 会社は再入社の希望に必ず応じなければならないか
- 退職前と同じ待遇で再入社できるか
- 退職前の勤続年数をどう考えるか
- 退職日からの経過年数をどのくらい許容するか
要件を個別具体的に検討しよう
上記の要件を個別にみていきましょう。
1)について、再入社希望の申出があれば、会社が応じるかどうか判断の自由は残しておくと良いでしょう。必ず応じます、と会社の義務を規定すると、会社の経営状況などで応じられない場合には、損害賠償の対象となる可能性もあります。
2)についても同様に、退社前と同待遇を保障するものでない、とするほうが良いでしょうが、再入社のメリットが弱くなるのは事実です。よって実務的には「必ずしも保障できないが配慮します」と示すことになるでしょう。
3)については、そもそも再入社制度の位置づけを考える必要があります。会社にとっての再入社制度のメリットのひとつとして、在職中にかけた育成・教育コストの活用があるでしょう。けれどもともと在職期間が半年も満たなかった人材だったとしたら、新規採用とほぼ変わらないのが現実ではないでしょうか。そういった人材でも再入社してもらう必要があるのか(活躍の余地があるのか)を考えておきましょう。
4)については、退職してからあまりにブランクの期間が長いと、在職時の能力や意欲を推し図ることが難しくなります。会社のシステムなど仕事のやり方も以前とは変わっている可能性もありますから、再教育が必要かもしれません。
どのくらいのブランクなら許容するのか、それともフォロー体制を整えるのか、など考えておきましょう。
双方にメリットある運用を
再入社制度を設ける会社のメリットとして、
- 迅速な採用が実現できる
- 採用や教育、育成にかかるコストを抑えることができる
- 社外での経験から新しい視点で業務に取り組むので、改善点が見つかりやすい
などが挙げられます。
社員にとっても、たとえばライフイベントに伴っていったんは離職したけれど、社会復帰を考えた場合、別の会社でゼロからスタートするよりも、今までのキャリアを効果的に活かすことができます。
要件をあらかじめしっかり考えておけば、会社と本人の双方にメリットのある制度として活用できるので、人手不足を乗り切るひとつの方法として検討に値するのではないでしょうか。
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再入社後しばらくは、家庭の事情と仕事の両立で悩んだり、行き詰まったりすることもあるでしょう。
家庭の事情で悩んでいても、職場では相談しづらいと考えているのかもしれません。
そんなときは「何か問題があれば言ってね」「困ったことがあれば相談してね」などと声を掛けておくことで、相手の不安解消につながると思います。
■この記事を書いた人■
社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ
「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。
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