今の時代に賃金表は必要なのか

デスクの上に手帳とボールペン。会議中。傍らに資料と付箋。

賃金制度を見直した。それに合わせて賃金表も再設計した。

社員を新しい号俸に格付けしようとしたら、なんと号俸数が足りない。

新しい号俸に当てはめようとすると、原資の額がふくれ上がってしまう・・・

 

初号俸の金額や昇給ピッチをどう設定するかなど、賃金表のシミュレーションにみなさん頭を悩ませて相談にお越しになります。

 

結構な時間や労力を割く前に、賃金表をつくる必要が本当にあるのか、まず考えてみませんか。

それでは以下から詳しくみていきましょう!


賃金表をつくるメリット・デメリット

オフィスの会議室の様子。窓から光が差し込んでいる。

賃金制度といえば、かつては賃金表の作成とワンセットでした。高度成長期の工場モデルでは、右肩上がりで年功序列の賃金カーブを描くことが簡単だったからです。しかし時代は変わりました。

 

賃金表のメリットとデメリットを見ていきましょう。

 

賃金表をつくるメリットは、賃金の全体額と昇給額の両方を管理できるので、人件費の予算が立てやすいことです。また社員にとってわかりやすく、会社も説明の仕方にあれこれ悩むことはないでしょう。

 

一方デメリットは、業績変動へ柔軟に対応できないところです。今は、世間の経済情勢やそれに伴う会社の業績の変動予測がつきにくい時代です。

 

けれど賃金表が定める昇給は、会社の業績とは関係のない、社員との約束事となってしまいます。

社員の平均年齢が高くなれば、人件費の上昇につながり、制度を維持するのが難しくなるかもしれません。

これからの賃金制度のコンセプトは

パソコンを広げながら作業中の女性社員。

今は昇給額について固定的な運用よりも、柔軟に決定できることが求められます。またバブルのような経済環境を経験したことのない、今の若手社員は「将来の保証よりも今欲しい」との志向も見受けられます。

 

よってこれからの賃金制度のコンセプトは、「今の頑張りに対して、今応える」ことがベースとなるでしょう。

 

賃金表は、勤続年数、学歴、年齢などの条件ごとの支給額を示したものですが、年功的な運用になりがちな面があります。

また支給額を並べた表なので、評価の高い人には高いランクの金額、低い評価の人には、低い金額を格付けすることになります。

その支給額は階段状に並んだ数字のため、わずかな評価点数の違いをどうやってあてはめるかは悩ましいところです。

 

そこで以下のように、範囲給の設計を考えるのもひとつの方法だと思います。

範囲給は、等級やポジションごとの支給額に幅(レンジ)があり、今の貢献度に見合った適切な賃金水準を絶対額として、基本給の上限額と下限額を設定します。

設計の手順についての大きなポイントは次のようになります。

  1. 等級やポジション別に、金額の最大値、最小値を設定する(幅(レンジ)の設定)
  2. 等級やポジションごとに人事評価の結果を、ポイント制で比例的に反映させる(たとえばS評価は5000点、A評価4000点、B評価3000点…のように)
  3. ポイントの単価を調整して、昇給原資にあった昇給額を毎期決定する

どんな行動や仕事が会社への貢献につながるのか

配線作業に取り組む社員の手。

この方法をとるなら、人事評価の基準を社員へ明らかにする必要があります。

そうでなければ、どんな行動パターンをとり、どんなスキルを身につけ、どんな仕事のやり方が会社へ貢献することになって、評価されるのかがわからないからです。納得性をもって行動へ移すことができません。

 

どんな行動をとることが会社への貢献につながるのかを意識して、社員が動かなければ、会社の業績アップにはつながりません。

 

せっかく労力をかけた賃金制度が、社員からは「現在の給与を押さえるための手段」としてしか認識されないおそれもあります。

 

大切なのは評価基準を明確にすることで、社員にスキルアップの方向性を理解させ、人材を育て上げること。

 

モデル社員の給与をはじめ、どんなスキルをつけるとどんな仕事を担当することになるのか、キャリアパスを示すことで、「この会社で腰を落ち着けてキャリアアップをめざそう」と社員のモチベーションアップにつながります。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。ノートパソコン、スマートフォン、ボールペン2本、ピンク色の付箋
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。パソコンに集中して打ち込む社員。
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