辞める人も残る人も困らない年休取得への対応とは

退職する社員にプレゼントする花束。「Many thanks」の文字。

「退職予定の社員が今まで取っていなかった分、辞める前に年休をまとめて取りたいと言ってきて困っている」

 

よくお聞きするご相談ですが、会社としては仕事の引継ぎをきちんと行ってくれるかどうかが気になるところです。

引継ぎがないまま休暇に入られると、残された人に過度の負担をかけることになってしまいます。

 

では、会社としてどのような対応をとると、仕事に支障をきたすことなく、辞める社員も残る社員も困らず、うまくいくのでしょうか?

 

今回はこのあたりについて、詳しくみていきましょう。


退職前の年休トラブルにメリットはあるか?

繁忙期など年休をとれば仕事が回らないといった場合には、会社は時季変更権を行使することもあるでしょう。

けれど社員の退職日を超えてまで、時季変更権を行使することはできません。

 

「引継ぎをちゃんとしないで年休を取るのに、年休で休んだ分の給料は支払わなくてはいけないのか?」

と思われる経営者や管理職の方もいらっしゃるかもしれません。

けれど本来であれば払われるべき給料が払われないとなると、トラブルになることは必至ですよね。

そしてそれよりも、退職前のトラブルでのごたごたによって周りの社員に与える、良くない影響のことを考えなくてはなりません。

ノートパソコンの画面で作業を行う社員の手先。

実務的な対応策はどうなる?

カレンダーと万年筆。

では、会社としてはどのように対応するとよいのでしょうか?

実務的には、以下のような対応が考えられます。

  1. 仕事の引継ぎに必要な分、退職日をずらすことができないか本人と話し合う
  2. 退職時に残った年休分を買い取ることで金銭的に補償を行い、引継ぎを行ってもらう

それぞれについて説明します。

 

1)について、きちんとした引継ぎがなければ本人の仕事をカバーする同僚社員が困ることを伝え、本人の事情と会社の都合を調整することが大切です。

本人の言い分を聞きすぎる必要はありませんが、あまり責め立てても良い結果を招かないでしょう。

 

あくまでも目的は「スムーズな仕事の引継ぎ」であること。感情的にならずに、落ち着いて冷静に対応したいところです。

また就業規則に、「退職日までに所定の引継ぎを終えなければならない」と引継ぎの必要性を規定しておくこともポイントです。

 

2)について、事前に年休の買い上げを予定することは法律で禁止されていますが、退職によって権利が消滅する年休の残日数を買い上げることは可能とされています。これも本人とよく話し合って調整することが大切です。

なお、事前に年休の買い上げを予定することが禁じられていますから、就業規則に規定することは適切ではありません。

そもそも年休の目的は、パフォーマンスを最大限に発揮してもらうための「休養」だからです。

計画的に休むことで業績アップにつなげよう!

デスクのうえに並べられたビジネスツール。タブレット、ノート、スケジュール表、ペン、コーヒーカップ。

退職を決めると社員が年休取得の申出をバンバンするのは、今まで年休をとれなかったから。もしかすると今まで年休取得を我慢していた分、退職前に権利の主張をしたくなるのかもしれません。

 

先に年休の本来の目的を「最高のパフォーマンスのための休養」と書きました。退職日前にまとめて年休をとってもらっても、その社員にパフォーマンスを発揮してもらうチャンスあるでしょうか?ありませんよね。

 

つまり、退職日前に休んでもらっても、もはや活躍する機会がないので、会社の業績アップにはつながらないのです。

 

ですから、会社の業績を伸ばすためにも、計画的に年休をとってもらう(年休の計画的付与制度といいます)ことを考えることはひとつの方法です。

 

年休のうち5日は社員が病気やプライベートな理由で自由にとれる日数として残しておかなければなりませんが、それ以外の日数については会社があらかじめ年休消化日として指定することができます。

この年休の計画的付与制度は、

  1. 会社(事業所)全体を休みとする
  2. グループごとに交代制で休む
  3. 個人ごとに休む日を指定する

など、現場の実態に応じて考えることができます。

 

仕事をスムーズに進めながら、年休をとってリフレッシュする。そうすることで社員さんの毎日の仕事での踏ん張りがかわってくるでしょう。

会社や仕事を生活のど真ん中に置く「仕事志向」の考え方は、若い世代を中心に弱まりつつあります。

働くうえでのモチベーションを高め、社員の力を有効に活用していくために、企業としても「生活と仕事の両立」を視野に入れた人材マネジメントを考えていかなければならない時代がきているといえます。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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