給与計算のアウトソーシングで気をつけるべきこととは?

USBからデータを取り込み中のノートパソコン。傍らにコーヒーの入ったマグカップ、スマートフォン、黒のペン。

私がよく経営者の方からお聞きするのは、社長自身が給与計算を行っていて、経営者としての本来業務に割くべき時間が削られて悩んでいる、ということです。正しく給与計算を行うための教育コストがかかるので適任者がいない、また小規模の企業では事務方の社員数が少ないため、社長自らが実務を行わざるを得ない事情があるようです。

 

けれどやはり社長が本来業務に専念するためには、自社で行うよりも低コストなのであれば、アウトソーシングの検討を行うことをお勧めします。アウトソーシング先の候補としてオススメしたいものの1つがクラウドサービス。

 

クラウド型給与計算ソフトもあることを聞いたので、実際に私も試しに使ってみました。

給与計算の業務フローには、労働時間の集計や社会保険料の計算など、人事に関する業務が多岐に渡って含まれていますが、それらがとてもわかりやすく管理されていることに驚きました。

 

従来なら給与担当者1名で行っていた作業も、クラウド型なので他の社員との分業もやりやすく、スピーディーに終わらせることができそうです。

何より給与計算の専門的な知識がなくてもできることが大きなメリットですね。

社労士業務のうちのひとつに給与計算がありますが、このようにとても便利な世の中になってきているので、私も社労士としての付加価値を考え直す良い機会になりました(笑)

アウトソーシングのメリット・デメリット

電卓と通帳、ボールペン

ただし、アウトソーシング先の正確性、対応スピード、情報管理の安全性などの面で不安があると、逆にコスト(負担)増となってしまう可能性もあります。

 

また、外注してもやはりある程度の業務は社内に残りますから、削減できるコスト(時間や手間)と増えるコスト(外注するコスト)を両てんびんにかけて費用対効果を考える必要があります。

 

以下の表でアウトソーシングのメリット・デメリットを整理しましょう。

 

 

〇アウトソーシングのメリット・デメリット

これらがアウトソーシングのコストに見合うか?を検討する必要があります。

  メリット デメリット
時間・手間  給与計算に割いていた時間や手間が大幅に削減される  勤怠や社員情報(扶養家族の増減など)の管理をはじめ、ある程度の業務負担は社内に残る

正確性・  対応スピード

専門知識があり、柔軟に対応してくれるアウトソーシング先なら安心して任せられ、担当者の負担減 正確性や対応スピードに難ありのアウトソーシング先の場合、社内で再確認が必要
情報の安全性 信頼できるアウトソーシング先なら安心して任せられ、担当者の負担減 外部への委託によって個人情報漏えいのリスクを抱えることになるので、アウトソーシング先の安全管理体制を確認する必要がある

そこで冒頭に挙げたようなクラウド型ソフトの導入を検討するのも、業務の効率化やコストダウンを図るうえでひとつの方法ですね。

従来のやり方が手放せない理由とは?

うず高く積まれたファイルの資料に埋もれる社員。手を挙げて助けを求めている。時計は深夜を指している。

ご相談の流れで、アウトソーシングやクラウド型ソフトを検討するといいのでは、という話になると「うちの会社では難しいです、無理です」という「事情」をお聞きすることがあります。

 

一番多いのが、勤怠管理についての問題です。

 

残業時間の把握が曖昧だったり、残業代の計算に不安があるので、アウトソーシングやソフトのスキームに乗せることができないのでは?と思われるようです。

 

よくある例として2点を挙げてみましょう。

 

 

 

1)36協定の限度時間を超える残業に対して、残業代を支払っていない

残業代は36協定で約束した限度時間までを支払えばいいのではなく、それを超えた残業時間についても支払う必要があります。

この場合、残業代の支払いとは別に、「そこまでの残業をするほどの業務があるのか、その業務は分担できないのか、そもそも本当に必要な業務なのか、代替案はないのか?」と考える必要がありますね。

 

2)残業単価の計算方法に自信がない

たとえば「1年365日、年間休日121日、1日の所定労働時間7時間30分の場合」

 

(365-121)÷12×7.5=152.4 → 端数切捨:152時間

が1か月の所定労働時間数となります。

 

つまり、月額で決まっている基本給、諸手当の総額を、152時間で割ったものが、残業1時間当たりの単価になります。

 

なお毎年同じ月額であったとしても、カレンダーの並びで残業1時間当たりの単価が変わることもありえます。ですから「月給を159で割る」などと規定している就業規則を拝見することがありますが、注意が必要ですね。

従来のやり方を見直せば生産性アップの機会になる

生産性を上げて、効率よく外回りをする男性社員。

先に挙げたような「事情」、みなさんの会社ではいかがですか。

私はアウトソーシングの検討やソフトの導入は、従来の仕事のやり方による、こういった懸念材料を見直すことができる良い機会になると思います。

 

たとえば勤怠管理の情報を整理することで、「社員がこんなに遅くまで仕事をしていたのか!」など労働時間マネジメントの必要性を実感できて、生産性アップにつながる取り組みを社内で行えるかもしれません。

 

一方で「残業代の計算が間違っていたなんて、社員に知られたくない」など、従来の仕事のやり方を変えることによる痛みへの抵抗が生まれるかもしれません。

 

けれどこの先もずっと、このやり方を続けることができるでしょうか。

 

一時的な痛みはあれども、社長が給与計算にかける労力を手放し、経営のマネジメントへ専念すれば今よりもっと業績がアップする可能性が高いと思いませんか。従来のやり方を変えることへ抵抗するよりも、業務の効率化、生産性アップがもたらすメリットへ目を向ける経営者を、私は応援したいと思っています。

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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