名刺やポイント還元は会社vs社員どちらのもの?

椅子が2脚ならんだ会議室の机。背面にホワイトボード。机上には鉛筆がいっぱいはいった筆立てと観葉植物。

4月も半ばを過ぎて、そろそろ新しい環境に馴染んできたのではないでしょうか。オフィスでも新入社員が配属されて、いろいろ試行錯誤の日々もようやく落ち着いてきたころですね。

 

新入社員から質問攻めにあったけれど、うまく答えることができなかった・・・ということもあるかもしれません。

こんな質問にはどう答えると良かったのか?とは、この季節によくいただくご相談です。

 

返答に困った例として、よくお聞きするのが次のような内容です。

  • 名刺は本人が持つものなのに、肩書は自分で決めることができないのか?
  • 仕事で物品を購入した際、お店のポイント特典を自分のものにしてはいけないのか?

会社に入社したということは、その会社の社員の地位を得たということです。ですから、会社と社員との間にはいろいろな法律関係が発生することになります。そこで日常の仕事をやっていくなかで、「これは会社のものなのか、それとも本人(社員)のものなのか?」と、ふと判断に迷うのはありえることだと思います。

そこで今回は、会社と社員の関係性に着目して、名刺やポイント還元は会社のものか、それとも社員のものなのかについて、詳しくみていくことにしましょう。

名刺の法的な意味とは?

片手で名刺を持ち、もう片方の手で名刺を指し示す女性社員。

オフィスでの職務分担表には、「〇〇部〇〇課〇〇係」などと書かれていると思います。これはその会社の組織と、その社員の担当する業務のことを指します。

つまり、会社のルールに従って、担当業務について所定の権限と義務を負っていることになります。

 

たとえば、ある社員が担当者として億単位の取引を行ったとしても、それは会社の構成員として会社の行為を行ったものであり、法律効果のすべてが会社に帰属することになります。それは利益を生む場合も、不利益を発生させる場合も同じです。

 

前置きが長くなりましたが、本題の名刺についてみていきましょう。

 

名刺は、社員としての地位、部署名、担当業務などを第三者に示すことを目的として作成するものです。よって、「御社を担当させていただきます、A社営業部の高島と申します」などというように、本人である旨を伝えながら名刺を提示し、交換することは、社員としての地位で会社の担当業務を行うこと、それが会社のための行為にあたることを、いちいち説明しなくても、相手方に示すことになります。

 

逆にいうと、会社が承認した肩書きなどを表示した名刺を社員本人に使用させることは、その名刺の肩書や表示、またそれに基づく社員の職務上の行為については、原則として会社が責任を負わなければならないということになります。

 

ですから、仕事上の名刺は社員が自分の好きな肩書きをつけて勝手に作るものではありません。

 

肩書など名刺に表示する内容を上司に相談しながら、「仕事を進めるうえで、従来のものよりもこの肩書きであるほうが、相手方に自分の業務内容を理解してもらいやすいので、このような名刺でいいですか?」などと確認し、その承諾を得ておくべきものです。

お店のポイント特典は誰のもの?

スーパーマーケットの陳列棚とショッピングカート。

社員がお店で会社の業務に必要な物品を購入する際、実は社員本人もそのお店のポイントカードを持っていた。自分のポイントカードを使って、購入の際に発生したポイントをつけてもらってもいいものか・・・?

 

社員がお店で会社の業務に必要な物品を購入した場合、次の3者が関係の当事者になります。

 

  1. サービス提供会社(お店)
  2. 物品を購入した社員
  3. 社員が所属する会社

 

サービス提供会社(お店)が誰に対してポイント特典を還元するかは、各提供会社が定めるポイントサービスの利用規約によって決定されます。規約がポイントを購入行為者(物品を購入するという行為をした者)である社員に付与するとしていれば、社員と社員の所属する会社との間でどんな合意がなされているかによって、最終的に誰のものかが決まります。

もしくは、規約の規定が購入費用を負担する会社にポイントを付与する、となっていれば会社のものとなります。

 

ただし、実際には規約上で誰に付与するかが明確でないことも多く、誰のものなのか?という問題になります。

 

一般的には、業務上で購入する場合のポイント特典は、購入者である会社に帰属すると考えるのが適当でしょう。

実務的な対応としては、資材購買を担当する社員に対して、ポイント特典の取り扱いについての会社の方針を書面で示しておくことをお勧めします。資材の購入金額が大きい場合、お店によっては高額な金額に相当するような比較的高い率のポイントが付与されることもありますし、購入自体が業務であることを社員に自覚してもらうためです。

もし、社員が本来なら会社に帰属するべきポイントを、自分のポイントカードにつけてしまったときには、就業規則の「会社の資産と私物の区別を明確にし、会社資産を勤務以外に使用しないこと」といった懲戒事由に該当することがあります。

 

けれど実際に懲戒するのは悪質な例に限り、本来は話し合いによって解決を図るべきでしょう。ポイントサービスの利用規約の内容は多種多様であり、その解釈や判断は簡単なものではないからです。

 

また、会社の方針を書面で示しておかなかった場合はなおさらです。

あらかじめ会社が指示しておかなかったことにも問題があります。

ポイントの取り扱いでトラブルが発生しないよう、事前の対策がとても重要です。

談話室のテーブルと椅子。傍らに観葉植物。

 

**

新入社員や若い世代の社員が、30代以上の社員にとっては当たり前の価値観や考え方を知らないということもあるでしょう。育ってきた時代背景をはじめ、世代間のギャップがあるからです。新入社員や若い世代の社員にとっても、周りの先輩や上司と考えや感覚がどうも違う、という思いを持っているかもしれません。

 

そういう事情を念頭に置き、彼らの気持ちを理解しながら業務の意図や意味をしっかり教えてあげること。この積み重ねが、コミュニケーションギャップを埋め、毎日の仕事をスムーズに進めることにつながりますよ!

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

≫詳しいプロフィールはこちらから

伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。ノートパソコン、スマートフォン、ボールペン2本、ピンク色の付箋
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。パソコンに集中して打ち込む社員。
無料コンテンツ。デスク上にコーヒーカップと文房具。
社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみへのご依頼はこちらから