お正月セールで出勤、労働時間はどうなる?

3つ並べられた色違いの革のハンドバッグと商品タグ。セール売り場。

「今年はカレンダーの並びでお正月休みが長いけれど、初売りの準備でみんなに出勤してもらわないと。・・・いつもの就業形態とは違うけれど、労働時間はどうカウントすればいいのかな?」(小売業 店長談)

 

年末年始、お正月セールや福袋の売り出しで営業するお店も多いですいよね。休みの日に社員に出勤してもらったり、お客さんの呼び込みのため屋外での販促活動をお願いすることもあるでしょう

 

 

 お正月休みに社員に出勤してもらった場合、休日労働と事業場外労働のみなし労働時間は適用されるのか?という問題があります。

 

そこで今回は、休日に社員が事業場外業務に従事した場合の取扱いについて詳しく確認していきたいと思います。

みなし規定の対象となる事業場外労働とは

ショップの紙袋に商品を詰める店員。ショルダーバッグ、コインケース、サンダル、サングラス。

オフィスの外に出て業務に従事するとなると、労働時間の把握が難しくなります。

 

こんなときは労働時間をみなし制により計算できます。みなし労働時間とは、「その日の実際の労働時間にかかわらず、その日はあらかじめ決めておいた時間労働したものとみなす」制度です。この事業場外労働のみなし労働時間制の対象となるには、前提条件が2つあります。

 

1つ目の条件は、会社を出て(事業場外)の仕事であること。いわゆる外勤・外交・外務労働を意味するものであって、屋外での労働を意味するものではありません。たとえ建設工事の現場は屋外だとしても、それは場所的、時間的、業務内容的に直接の会社の指揮監督下にあり、組織化された一つの事業場内の業務といえるからです。

 

続いて2つ目の条件は、会社の具体的な指揮監督や時間管理が及ばず、労働時間のカウントが困難である、というシチュエーションであること

 

たとえ会社を出て(事業場外)の仕事であったとしても、

  • グループを組んで社外での仕事だが、メンバーにリーダーがいて労働時間の管理ができる
  • 携帯電話などで随時、会社から指示を受けながら働いている
  • 外出前に会社で訪問先・帰社時刻などその日の仕事について具体的な指示を受ける→会社を出発して指示通りに働く→再び会社に戻る 

・・・といったようなシチュエーションでは、みなし労働時間制の対象になりません。

休日にみなし規定は適用されるのか

お店で陳列されたパイソンのサンダル。観葉植物のグリーン。

事業場外労働のみなし労働時間制は、あくまでも「労働時間の長さ」の算定についての規定です。たとえ事業場外の労働であったとしても、それがお正月休みという休日にあった場合、労働時間の算定に「みなし規定」の適用があるのか?という疑問が生じます。

 

まず、労基法に定める法定休日(1週1日または4週4日)以外の、会社で法律を上回って定めている法定外の「所定休日」については、通常の労働日と同じと考えますので、みなし規定の適用は差し支えありません

 

ただ、法定外の休日といっても会社が決める休日には変わりありません。つまり就業規則上は所定労働時間の定めがなされていない日にあたります。

では、就業規則において始業・終業時刻の定められていない休日に労働して、みなし規定の適用により「所定労働時間の労働をしたとみなす」といっても、当日の所定労働時間が定められていないのだから、みなしようがない・・・??のでしょうか。

 

休みに販促活動や取材、集金などの実労働が現実的に行われているのにもかかわらず、「みなしようがない=ゼロ時間」だったらやってられない!と、社員から反発の声が上がることは必至です。

 

そこで、このような場合どう取り扱うかというと、客観的に時間を算定するのが困難であるなら、結局は休日以外の通常の労働日と同様の労働時間だけ労働したものとみなされることになります。法定外の会社休日であろうと、労基法の定める法定休日であろうと考え方は同じです。会社としても社員の働きに見合った対処にしたいのですから、当事者の意思にマッチした民事的な取扱いだといえます。

 

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新しい年を迎えるお正月休みは誰しもゆっくり過ごしたいもの。

 

とはいえ、業務を円滑に継続していくためには、社員の誰かに年末年始に出勤してもらわなくてはならないこともありえます。

 

正しく労働時間をカウントして、割増賃金などを支給するのはもちろんのことですが、「お疲れさま!〇〇さんのおかげで助かったよ」と忘れずにねぎらいの言葉をかけたいですね。

マーブル調のテーブルに無造作に置かれた木蓮の花たち。

社会保険労務士高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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伸びる会社の就業規則作成コンサルティング。花びんに活けられた真っ赤なバラ。白の置時計。
社員を伸ばす人事制度構築コンサルティング。談笑するビジネススーツ姿の男女。

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