経営者が知っておきたい賞与の話

赤、ピンク、ゴールド色をした球状のクリスマスオーナメントが、クリスマスツリーのかたちに並べられている。中央にサンタクロースのオーナメント。

今年も残すところ1か月あまりとなりました。

12月といえば冬のボーナス、賞与の支給日を間近に控えた企業も多いのではないでしょうか。

 

年収は月給と賞与によって決まりますし、年収に占める賞与のボリュームは大きいもの。

企業サイドからみれば、賞与には会社の業績をみながら総額人件費の管理を行うとともに、社員の年収も管理する機能があります。

 

社員の年収管理で大きな役割を持つ賞与ですが、

「年俸制にすると、賞与を調整弁にして年収管理するわけにはいかないですよね?」

との質問をいただくことがあります。

 

そこで今回は、年俸制における場合も含めて、賞与と年収管理の関係について詳しくみていきたいと思います。実は、賞与と年収管理の関係に着目することで、賃金制度の現状課題を見つけることもできるのです。

賞与と年収管理の関係

黄色の電卓と給与明細が机の上に並べられている。

簡単にいえば社員の年収は、以下のような構成になっています。

 

 年収=【月給】×12+【夏・冬の賞与】+【決算賞与】

 

ですから、年収を調整する役割としては、大きく分けて次の3つがあります。

  1. 月給の昇給
  2. 賞与
  3. 決算賞与(一時金)

 

先にもお伝えした通り、社員の年収に占める賞与のボリュームは大きいため、賞与や一時金の支払い額を会社の業績によって大幅に変動させるとすれば、総額人件費をとてもスムーズに管理できることがわかります。

けれどこれまで多くの企業では、年功を重視して賃金を決定してきたので、社員の年収は会社の業績と連動せずに、成り行きで決まってしまうケースがみられました。

 

その反省から人件費をスムーズに管理するために、年俸制の導入を検討する企業も出てきました。そこで検討のプロセスにおいて、冒頭のような「いや、でも年俸制にすると賞与で年収管理できないのでは・・・?」との疑問にぶつかることになります。

 

年俸制は1年単位で、給料の額を決定する形態をとります。給料は毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければならない、と法律で決まっているので、実際には年俸額を分割して毎月支払うことから、このような疑問が生じるのでしょう。年俸制においては、年収を決めてから月給や賞与に振り分けるしかない、との思い込みがあるからです。

年俸制では賞与で年収管理できない?

電卓と赤いペン。データをチェック。

年俸制といえば、年収(年俸)を評価によって決定し、それをたとえば16で割り、12か月分の月給と残りの4か月分を夏・冬の賞与に2か月ずつ振り分けるような方法を思い浮かべられるのではないでしょうか。

もちろんこの方法は間違いではありません。ただし、このやり方だけが年俸制ではないのです。

 

先のようなやり方をとると、初年度の評価が良ければ、次年度の年収(年俸)が上がることになるので、当年の会社の業績とうまく連動することができません。

そこで、「月給(基本年俸)+人事評価の格差が大きくつく賞与制度」をもって年俸制とすることもあります。そうすれば、当年の会社の業績と個人の人事評価に連動して、社員の年収管理を行いやすくなります(いわゆる「日本型年俸制」と呼ばれるスタイルです)。

 

このスタイルの年俸制の特徴を簡単に言うと、次の3点になります。

  1. 基本年俸(月給×12か月)+人事評価の格差が大きくつく賞与
  2. 月給部分も人事評価いかんでアップダウンの可能性がある
  3. 人事評価によって月給部分に定期昇給がある

これによると、基本年俸(月給部分)も人事評価によってアップダウンし、賞与で大きく格差がつくので、年俸制のインパクトを残しつつも、賞与をうまく使って年収を管理することができます。

賞与の出し方で賃金制度の課題がわかる

オフィス内のキャビネットを背に微笑んで立つ女性社員。

人事制度(人事評価と賃金制度)のコンサルティングをしていると、資格等級による人事評価を実施している企業であっても、人事評価よりも昇給に重きを置いて年収格差をつけているケースがとても多いことに気付きます。

 

この場合、何が問題なのかというと、たとえば2等級の人が良い評価をとり、3等級の人が悪い評価をとったとすると、たとえ評価が悪くても「3等級の人のほうが上の等級なのに、賞与で金額がより多くないのはいかがなものか」という考え方で賞与の支給が行われることになります。

 

すると、年収に占める賞与の割合が大きいため、良い評価を取った人の年収が低く、悪い評価の人の年収が高くなってしまうという、おかしな事態が発生します。

そもそも人事評価を実施しているのは、会社に貢献することで良い評価となった人に対して、報酬で報いたいという思いからだと思います。評価が悪い人の年収を高くしてあげよう、という意図ではなかったはずですよね。賞与で年収管理がうまくできていない一例といえます。

 

 

賞与と年収管理の関係についてみてきましたが、ここにフォーカスすることで、現状の賃金制度のどこに問題があるかを見つけることもできます。

この冬のボーナス支給を機会に、年収と人事評価の得点を見比べてみて逆転現象が起きていないかなど、賞与による年収管理がうまくできているかについて、一度確認してみることをお勧めします!

社労士事務所Extension 代表・社会保険労務士 高島あゆみ

■この記事を書いた人■

社労士事務所Extension代表・社会保険労務士 高島あゆみ

「互いを磨きあう仲間に囲まれ、伸び伸び成長できる環境で、100%自分のチカラを発揮する」職場づくり・働き方をサポートするため、社会保険労務士になる。150社の就業規則を見る中に、伸びる会社と伸びない会社の就業規則には違いがあることを発見し、「社員が動く就業規則の作り方」を体系化。クライアント企業からは積極的に挑戦する社員が増えたと好評を得ている。

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